出版不況、経済不況でライターはどうなる?
ライブのセミナーではあまり質問されることはありませんでしたが、
最近になってたまに訊かれることに
「不況ですが、ライターの仕事なんてあるんですか?」
という内容のコトがあります。
確かに、世界的な不況と言われる昨今、また出版業界ではいわゆる活字モノ、
と言っても今どき「活字」は使いませんが…まあ紙媒体ですね。新聞、雑誌、
書籍などですが、これらの売れ行きが全体的に不振で、「出版不況」とも
言われています。
そうなると、出版物自体の数が減り、売上も減り、部数が減り、当然仕事も
減ってしまう…となるわけですが、意外に「完全に失業した」というライター
の話はあまり聞きません。どちらかというと、「不況だし、自信をなくして
辞めた」という人のほうが多いかもしれません。純粋な意味で、仕事を失って
辞めざるを得なくなるライター、というのは少ないように思います。
私の経験以外に何の根拠もないのですが(笑)、分析してみますと、
以下のような理由が考えられます。
●1:「ライター」という仕事は意外にツブシが利く
ライター、つまり「書く」という仕事は辞めないまでも、肩書きが変わる人は
結構います。
ライター→編集者、ライター→企画担当、ライター→記者、ライター→デスク、
ライター→広報、ライター→教育担当、ライター→総務(社内報担当)などなど。
書くこと以外に多少任務が付け加えられたような仕事に転職する人も結構いる
んですよ。
また、転職までしなくとも、雑誌一辺倒だった人が広告、パンフレットやチラ
シの文言を書くようになったり、Webサイトの文章を書くようになったり、
文芸誌中心に活動していた人が、企業で使うマニュアルを書くようになったり
と、書く場、書く内容を少し変えて活動を続けることもできます。
ある意味、多少のこだわりを捨てれば方向転換がしやすい職業とも言えるかも
しれませんね。
●2:新たな「書く場所」ができつつある
これまでライターの主要な仕事場というと「雑誌」「書籍」が多かったもので
す。先に述べたように、出版不況のあおりを受け、休廃刊した雑誌も数多く、
またそうでなくても予算削減のためライターへの仕事の外注を減らしたところ
もたくさんあります。
一方で、Webサイト(ホームページ)という、新しい場が生まれました。
Webで書く、というとブログ流行に代表されるように「素人の場」と思う方も
多いでしょうが、最近はようやく「プロにお金をはらってきちんとしたものを
書いてもらいたい」というお客さん(サイト運営者)も増えてきています。
某ニュースサイトなどでおなじみPJ(パブリック・ジャーナリスト)なども、
最近は文章がつたないと批判を受ける、ということも多くなっているとか。
素人っぽいのがいいんだよ、という時代から、雑誌の衰退とともに、Webにも
プロの文章が求められる時代になったということです。
ただし、出版社が運営しているとは限らないのがWebサイト。
従来の原稿料相場が破壊されてしまい、モノによってはとてもプロに仕事をさ
せるような金額ではない、という格安の原稿料を提示してくるところもあるよ
うです。
逆に言えば、カケダシのライターにとっては売り込みもし易くなると言うわけ
で…。安いギャラにめげず、実績作りをしようという場合には、以前よりもチ
ャレンジしやすくなったと言えるかもしれません。