不況下でも頼られるライターになる その3 短文にまとめる
■ 不況下で重宝されるライター像、その再確認
新しい仲間も増えたということで、今までお読みいただいていた方々には、
ちょっとしつこいかも知れませんが復習です。
●不況なので、ギャラの平均額は下がってしまう。
→ 仕事を効率的にこなせるようにならなくてはいけない。スピード要。
●ネット媒体が増えてきている。
→ 長文を「読ませる」ことよりも、短くてまとまった文章が好まれる。
ということで、前号では「書くスピードを上げる訓練法」についてお話ししま
した。今号ではその続きをお話しましょう。
■ 短い文章を作れる力をつけよう
短い文章、とはいってもいわゆる「コピーライター」の領域のことではありま
せん。短いキャッチも書けるに越したことはありませんが、やはり「コピーラ
イター」という専業の方々に短時間で追いつくのは難しいでしょう。
私が言っているのは、40字から200字くらいの短文と、400~600字くらいの長さ
…長文じゃないので仮に「中文」と呼びましょう。なんだか中国語みたいです
が…そんな長さの文章をさくっと書けるようにしよう、ということです。
個人的な経験で恐縮ですが、雑誌媒体をやっているときにはこうした短い文章
って「あなうめ」だったり「用語解説」だったり、さもなくば「リード文」(※)
などで書くことはあっても、あまりメインの「商品」として書くことはなかっ
たんですね。
ですが、ネット媒体を主力にしてからは、短い文章こそが、私の「商品」とな
りました。画面の中で見せるには、短い文章でなければならないことが多く、
長文しか書けない、短文が苦手なライターでは対処しづらくなってきたのです。
● ○ ● ○ ●
ライブセミナーなどではよくお話しするのですが、長文を書くこと自体はちょ
っとなれれば、誰でもある程度書けるようになるのです。特に、読書好き、本
好きな方にとっては長文はちょちょいのちょいでしょう。読み手にどう評価さ
れるかは別の問題として。
ところが、字数制限のある文章を書くのって、あまり日本人は訓練されていな
いせいなのか、苦手な人が多いんですね。
字数制限にバシっと合わせることができれば、それだけでプロのライターとし
て十分食べていけるのではないかとすら思います。
例を挙げてみましょう。
「あるニュースを200字でまとめてください」
と言われたとします。
あなたなら、何字くらいが許容範囲だと思いますか?
ちなみに、20字×20行の文章だとして。
考えてみてください。
私からの答えは、下の方で。
■まとめる力をつけよう
「短い文章を書くテクニック」を身につけるには、最初から短くてまとまった
文章が書けるようになることも大切ですが、長い文章をまとめる力もないとい
けません。私などもいつも反省していますが、「結論がわかりやすい文章」が
書けないと、どんなに叙情的・情緒的で「読ませる」文章を書いたところで、
読者に何が言いたかったのか伝わりません。
小説家になるなら別ですが、ライターとしてやっていくには結論をわかりやす
く述べることを心がけましょう。
いまいち自分で文章を書いていてまとまらないんだよなーとか、結論(言いた
いこと)が伝わらないんだよなー、と言う方に試して欲しい方法があります。
それは…
結論を先に書いてしまう
ということです。
ライブ講座では、よく「文章の構造」についてお話していますが、数ある文章
構造のパターンの中で、最も結論がわかりやすいパターンが、先に結論を書い
てしまう「頭括型」の文章。あたまでまとめてしまうというわけです。
ラブレターを書くときに、
「君と出会ったのはいついつでした…」から延々と自分語りをし、最後に「好
きです、つきあってください」と書くのではなく、ともかく単刀直入に言って
しまう。その後で、理由や自分とつきあうメリット(!)を語る。
たとえて言うなら、そんな感じの文章を書くのです。
よくあるじゃないですか、書評でも映画評でも、こんな書き出し。
「結論から言ってしまおう。この映画は私のなかでナンバーワンの傑作だ。」
というような。
先に結論を書く。
これ、けっこう効きますよ。
お試しあれ。
■で、短い文章を書くにはどうしたら?
さて、さっきの質問の答えです。
「あるニュースを200字でまとめてください」
と言われたとして、何字書けばいいのか。
理想は、句読点含めて200字ジャスト(笑)。
ギリギリの許容範囲なら、181字以上。
これは、1行20字として、1行以上余らせてはいけないからですね。
普通は、最後の行の真ん中へんくらいまでは字があったほうがいいですね。
もちろん、途中で改段すると字数はまた変わってきますが、ざっくりと言うと
こんな感じです。
改段がないとしたら…。
そうですね、自分なら195字~200字の範囲におさめたいかな。
私個人としては、そんな感じです。
どうやって調整するのか…?
それは、とりあえず秘密で。一応、商売ですからね(笑)。
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さて、それでは今号の最後に「どうしたら短い文章がうまく書けるようになる
のか」について考えてみましょう。
毎度似たような結論ですみませんが、やっぱり訓練を続けることが一番。
毎日、ニュース記事を100字以内でまとめてみるとか、そんな訓練を地道に続
けるのが実は効果的です。
それでも、今からうまくなりたい!
という欲張りなあなたには、こんなヒントを。
長い文を短くするには、修飾語を削るのが一番早い
ということを覚えておいてください。
主語と述語だけで、十分に伝わりますから。
たとえば、
私は今日、道ばたで赤い服を着た、それはそれは美しい女性とすれ違った。
究極的に短くすると
私はすれ違った。
となります。
これだとさすがに言いたいことが伝わりません(笑)。
最低限、こんなところでしょうか。
私は、美しい女性とすれ違った。
こうなります。
あんまりいい例じゃありませんでしたが、要は「どこの部分が重要か」を考え
て、それ以外を省くんです。そうすることで、短くできる。
同じことを繰り返していないか、くどい表現はないか…そうやって自分の書い
た文章を見直していきましょう。